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『安倍首相「教育無償化へ憲法改正」のウソ……』という酷い記事に水を差してみる

 

安倍首相「教育無償化へ憲法改正」のウソ→改憲なしで実現した高校授業料無償化を廃止したのが安倍政権

という井上伸さんの記事が人気になっています。

 

blogos.com 

 

ただ私にとってはナカナカに酷い記事だったので、水を差してみようと思います。

 

国語の問題なら×のつく意訳

 

すべての教育の無償化のために憲法改正が必要だと安倍首相(自民党総裁)は言っているわけですが、

 

言っていません。

引用部分を見ると、安倍総理は「教育無償化を憲法改正の優先項目」と言っているようです。意味が違います。もしこれが国語の問題であれば、0点です。

 

実際、安倍政権は2014年4月から高校授業料無償化を廃止してしまいました。

 

言葉が雑です。

正しくは「所得制限を設けた」です。まあ部分的には無償化が廃止される形になったので、国語の問題であれば△で部分点といったところでしょうか。

 


ついでに、引用されているツイートの「教育無償化や環境権は立法政策で実現出来ます」というところにも言及してみます。

 

 

 

この異邦人さんのように、「憲法なんかでやる必要はない。法律でできるんやから法律でやれや!」という主張をよく見かけます。

 

もも教育無償化に賛成なら、憲法に載せた方が良いですよね。

だって法律なら簡単にできるかもしれないけど、簡単に変えることもできるじゃないですか。ホラ、まるで自民党が所得制限を設けたみたいに。憲法の方がよっぽど変えるの大変じゃないですか。

(ちなみに憲法だと時間がかかりそうだから、法律で早くやって欲しいという部分には同意しています)

 

主張を変えることの何が問題なんだろう

 

高校授業料無償化は、「将来に責任を持たない政策」、「将来の子供たちにツケを廻すもの」、「ただのバラマキをしているだけ」、「選挙目当てのバラマキ政策」、「(高校授業料無償化を続ければ)財政破綻国家に転落することは間違いない」と自民党は断言してきました。

 

これの何が問題なのでしょうか。自民党全体としては分かりませんが、少なくとも安倍総理に関して言えば、旧来のこの主張を今回変更するということですよね。

 

いや、教育無償化に反対の人が「今までエエこと言うてたのに、なんで今さら主張を変えるんや!」と言うんだったら分かりますよ。

でも教育無償化に賛成の人にとってはとても良いことじゃないですか。

なぜこれが問題になるのか分かりません(皮肉な意味合いで)。

 

最も酷いデータの解釈

 

教育無償化についての予算は「バラマキ」だと口汚く批判して世界最低にまで削減し、軍事費だけは世界有数の規模を確保してきたのが自民党です。日本を「高等教育予算は世界最低、軍事費は世界8位」にしたのが自民党なのです。


日本の教育費と軍事費に関してデータを用いて主張されているのですが、コレがまあ酷い。

 

教育費の方から見てみます。

 

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まずこれ、2013年のデータですよね。

またリンク先を見る限り、

教育機関への公的支出においては「2007年~2012年までが最下位」で、2013年に7年ぶりに最下位を免れた

という内容でした。

 

第2次安倍内閣は2012年12月26日~なのですよ。

このデータを「第2次安倍政権が発足した2013年に最下位を脱することができた」という主張のために使うのなら、まだ分かります。

しかし民主党政権時に、一度も最下位を脱することができなかったことを考えれば、このデータを使って「自民党が教育費を最低にまで削減した」などとは、とうてい主張できる話ではないと思うのですが……。

 

次に軍事費について。

軍事費は教育費の比較対象として挙げられています。

だったら軍事費も教育費と同様、対GDP比で考える方が適切なのではないでしょうか。

 

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筆者の井上伸さんが「軍事費が世界8位」と述べるために使ったデータが↑です。ここに2016年の対GDP比も載っているんですね。一番右の数字です。

いかがでしょうか。このデータの国の中で、日本は最下位なんですよ。

 

最後に 

 

改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」

 

井上伸さんは↑のように主張されています。

事実は分かりませんが、印象としては私もこの部分に同意をします。

 

しかし。これの一体何が問題なのでしょう。

私もそうですが、「幼児から大学などの高等教育までの教育無償化」に賛成の立場の人間であれば、首相が教育無償化を憲法に盛り込もうとすることは、とても喜ばしいことなのではないでしょうか。形はどうであれ。

 

ここからは印象の話になるので恐縮ですが、今回のように改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」的な主張をする中には、「だから改憲は阻止しなければならない」とか「だから安倍はダメだ」といったところに結びつけようとする方が、少なからずいらっしゃるように感じます。

でもそういう方々も、実は自分の主張のために教育無償化を利用していますよね。改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」のと同じように。

 

ちなみに私は「別に利用してもいいんじゃないか」と思っています。

だから「安倍総理改憲目当てに教育無償化をただ利用しているにすぎない」という仮説を、自分の主張のために利用することには反対しません。

しかしそのためにヒドい意訳やヒドいデータ解釈をすることには、もちろんのこと賛成できません。

 

またそのようなことを頻繁にしてしまうからこそ、この手の主張をされる方への支持がどんどん減っていくように感じているのです。 

 

 

 

 

 



 

 

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